ISBN:4062749858 文庫 井上 夢人 講談社 2005/02 ¥860

「これはSFだっ!」と思うものを挙げよと某所で言われたので
俺がギリギリSFだと思うものを挙げてみる。
ちなみに写真で分かるように「このミステリーがすごい!」4位を受賞してます。

そんじゃ、Amazonから引っ張ってきたあらすじー
「ぼくの鼻は、イヌの鼻!?」殺人者の襲撃に遭い、頭部を強打された後遺症で"匂い"を失った「ぼく」こと片桐稔は、その代わりに凄まじい"嗅覚"の世界を獲得する。この尋常ならざる異能を用いて、殺人者に殺された姉の仇を討つことはできるのか?

この作品のキモは「匂い」を「見る」能力を得た主人公。
犬以上の嗅覚を持った主人公は我々には感じられない微量何おいですら判別できるようになった。
そして匂いのもつ莫大な情報量を処理するため脳の嗅覚野ではなく、人間の発達した視覚野で処理することになったために、色とりどりの鮮やかな粒子として見えるようになったのだ。
我々人間にとっては、嗅覚というのはあくまでも補助的なものでしかない感覚。
しかし、昆虫や動物達は日常的に使っている重要な情報源だ。
それを人間が手に入れるということは、人間の暮らしている世界とは別の世界に行くということ。他の人には見ることも感じることも出来ない世界を見えるようになった人間は、人間なのだろうか。
多分今いるべき人間ではないのだろう。いずれ手に入れるかもしれない人間の能力、それを先行的に手に入れてしまった人間なのだ。

俺の考えるSFというのは、
『現在の人間は扱えない技術、持っていない能力、行くことの出来ない世界を我々に見せてくれるもの』
技術でいえば、宇宙船もそうだし、タイムマシンもそう。アンドロイドだってそうだし、サイボーグもそう。
能力といえばテレポーテーションにテレパシー、サイコキネシスにパイロキネシス。透視もそうだし、今回の超嗅覚もそう。でも空の境界の直死の魔眼は違うような気がする。でもブギーポップのMPLSはそうなのかな。
世界といえば、宇宙、異星、未来、過去、並行世界、深海もそうかもしれない。
いつの日か人類が扱えるようになるかもしれない技術、持てるかもしれない能力、行けるかもしれない世界を先行的に見せてくれるのがSFだと思う。

俺はアレルギー性鼻炎持ちなので、匂いが見えても今の時期はなんも見えないだろうなー、と思ったり。

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